日本消化器外科学会雑誌
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Human T-lymphotropic virus type-1関連胃原発悪性リンパ腫の1例
伊藤 暢宏鈴村 和義有川 卓堀越 伊知郎小竹 克博稲垣 均大輪 芳裕永田 博黒川 剛野浪 敏明
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2004 年 37 巻 2 号 p. 136-141

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抄録

症例は65歳の男性で, 心窩部不快を主訴に検診を受診し, 胃に異常を指摘され精査目的にて紹介入院となった. 上部消化管精査にて, 胃体上部から下部にかけて粗大結節性で不整形な隆起性病変を認め, 生検でT細胞性悪性リンパ腫と診断した. 抗human T-lymphotropic virus type-1 (HTLV-1) 抗体は陽性であった. CT検査, Gaシンチなどで胃所属リンパ節以外に異常を認めず, 胃原発T細胞性悪性リンパ腫と診断した. 胃全摘, 脾摘, 胆摘, D2郭清術を施行した. 組織中のHTLV-1 (DNA) プロウイルスは陽性であったが, 骨髄液中は陰性, また, 末梢血, 骨髄中に異常リンパ球を認めなかったことよりHTLV-1関連胃原発悪性リンパ腫の確定診断がえられた.HTLV-1関連胃原発悪性リンパ腫の報告はまれであり治療法も確立していない. さらなる症例の集積が望まれる.

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