飲酒による膵炎を契機に発生したと考えられる偽性総肝動脈瘤に対し, 開腹術による動脈瘤の切開と基部の切除, 欠損した総肝動脈の形成による根治術を行った症例を経験した. 症例は36歳の男性. 飲酒後に上腹部と背部痛が出現した. 急性膵炎の診断時に, 腹部造影CTと腹部超音波検査で膵頭部近傍に動脈瘤を指摘しえた. 血管造影検査で総肝動脈の偽性動脈瘤と診断され, 胃十二指腸動脈は描出されなかった. カテーテルによる塞栓術については瘤破裂の危険性を考慮し選択しなかった. 治療は開腹術により動脈瘤を切開し瘤基部の流入血管を直接切除した後, 欠損した総肝動脈を大伏在静脈で形成閉鎖した. 非破裂の総肝動脈瘤の治療法として今回選択した術式は適切と考えられたので報告する.