日本消化器外科学会雑誌
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腸重積をきたし肛門外に脱出したS状結腸癌の2例
小林 成行鈴鹿 伊智雄大橋 龍一郎泉 貞言小野田 祐士塩田 邦彦
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2004 年 37 巻 4 号 p. 452-457

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抄録

成人の大腸腸重積症では悪性腫瘍が先進部となることが多い. しかし, 肛門外にまで脱出したS状結腸癌症例は過去に本邦で27例が報告されているに過ぎず, 比較的まれである. 最近当科にてこのような症例を2例経験したので報告する. 症例1は90歳の女性. 主訴は排便困難, 下腹部痛. 入院後, 排便時に先端に腫瘤を伴う腸管が肛門から脱出した. 症例2は84歳の女性. 主訴は下腹部痛, 肛門からの腸管脱出. 脱出腸管の先端に腫瘤を認めた. 症例1は大腸内視鏡検査と注腸造影検査, 症例2は骨盤部のCT検査にて術前診断を行い, 手術を施行. 腸重積を整復後に2群リンパ節郭清を伴うS状結腸切除を行った. 成人腸重積症では, 腸切除前に重積を整復するか否かで意見が分かれるが, 肛門外脱出例では整復後に腸切除術を行うのが実際的である. また, 合併症を有する高齢者に対しては低侵襲な経肛門的腸切除術も考慮して良いと考えられた.

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