日本消化器外科学会雑誌
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胆管原発小細胞癌の1例
牧野 勇北川 裕久太田 哲生萱原 正都西村 元一藤村 隆清水 康一三輪 晃一佐藤 勝明小田 惠夫
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2004 年 37 巻 6 号 p. 680-685

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抄録

症例は74歳の男性で, 眼球黄染と褐色尿を主訴とし入院した. 胆道直接造影検査にて下部胆管内腔に乳頭状に突出する腫瘍を認め, 胆汁細胞診ではclass V (adenocarcinoma) であったため下部胆管癌と診断した. 画像診断上は膵, 十二指腸への浸潤はなく, 明らかなリンパ節転移, 肝転移の所見もなかった. 入院当初はendoscopic nasobiliary drainageを行っていたが減黄不良のためpercutaneous transhepatic cholangial drainage に変更し減黄改善を図ったが, 次第に肝機能が悪化し, 同年7月に肝不全死した. 病理解剖の結果, 下部胆管内腔に黄色調, 乳頭膨張型の腫瘍を認め, 肝内に3か所, 大網に1 か所の転移巣が存在した. 病理組織像では, 未分化な細胞が充実性に増殖し, 免疫染色ではchromogranin A染色, Grimelius 染色, CD56染色, CAM染色が陽性で胆管原発小細胞癌と診断された. 胆管原発小細胞癌は極めてまれであり, 文献的考察を加えて報告した.

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