日本消化器外科学会雑誌
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術前診断が困難であった腹腔内陳旧性血腫の2例
高山 哲郎佐藤 孝臣天田 憲利織井 崇菊地 廣行芳賀 泉古田 進
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2005 年 38 巻 10 号 p. 1596-1601

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抄録

症例1は58歳の男性で, 他院での腹部超音波検査にて径7cmの左横隔膜下腫瘍を指摘され当院紹介となった.上部消化管内視鏡超音波検査にて胃壁筋層との連続性はなかったが, 腫瘍径が大きかったことと腹部CTおよびMRIにて胃粘膜下腫瘍もしくは脾腫瘍が強く疑われ手術を施行した.症例2は50歳の男性で, 検診の腹部超音波検査にて腹腔内リンパ節腫大を指摘され他院で腹部MRIを受けたところ, 膵体部から頭側に突出する径2cmの腫瘍を認め当院紹介となった.腫瘍マーカー, 血糖値, 血中インスリン濃度などに異常はないものの膵原発腫瘍を否定できず手術となった.いずれの症例も最終診断は陳旧性血腫であった.無症状下に発見され, 腹腔内血腫を積極的に疑う腹部外傷歴はなく, 術前画像検査上は充実性腫瘍との鑑別は困難であったが, 中心部出血を疑う腫瘤や辺縁石灰化を伴う腫瘤の場合には, 陳旧性血腫も念頭におく必要があると思われた.

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