日本消化器外科学会雑誌
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腹部血管造影および色素注入法により出血部位を同定しえた管内発育型小腸GISTの1手術例
柳 健古谷 政一清水 康仁山本 一仁坂東 功一田尻 孝
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2005 年 38 巻 3 号 p. 330-335

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抄録

症例は57歳の男性で, 下血を主訴として来院した. 上部・下部消化管内視鏡検査にて出血性病変を認めず, 小腸出血を疑い腹部血管造影およびCT during arteriographyを施行したところ, 第1空腸動脈末梢の腸管内に腫瘍濃染像を認めた. 小腸腫瘍の診断にて, 血管造影時のマイクロカテーテルを腫瘍栄養血管に留置した状態で開腹手術施行した. 同カテーテルからの色素注入にて腫瘍の局在部位を漿膜面から肉眼的に同定し, 切除しえた. 病理組織学的検索にて, 低悪性度のGISTと診断した. 下血で発症し管内性の発育形式をとる小腸GISTの報告は本邦では自験例のみであり, また血管造影および腫瘍血管に留置したマイクロカテーテルからの色素注入法にて, 出血部位を画像的・肉眼的に同定する方法は, 緊急時でも速やかに的確な診断・治療を行えると考えられた.

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