日本消化器外科学会雑誌
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肝癌細胞に対するmda-7/IL-24の腫瘍抑制効果とシグナル伝達
加藤 久美子佐伯 知行山崎 洋次
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2005 年 38 巻 8 号 p. 1280-1287

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抄録

はじめに: mda-7/IL-24はIL-10ファミリーに属するサイトカインである. mda-7を発現したアデノウイルスベクター (Ad-mda-7) を用いて癌細胞にmda-7遺伝子を導入すると癌特異的に増殖抑制とアポトーシスを誘導することがさまざまな癌細胞で証明されている. 本実験ではAd-mda-7が肝癌細胞株に及ぼす腫瘍抑制効果およびシグナル伝達機構をin vitroで検討した. 方法: Ad-mda-7をHepG2 (p53野生型) およびHep3B (p53欠失型) に感染させ, 免疫染色およびWestern blot解析を用いて細胞内MDA-7の発現を検出し, trypan-blue染色法で生存曲線を作成した. さらに, Ad-ma-7感染後に発現しているアポトーシス関連蛋白 (PARP, CASPASE, BAX) およびJAK/STAT 蛋白をWestern blot解析で検出した. 結果: 両細胞においてAd-mda-7感染72時間以後に増殖抑制を有意に認めた (p<0.05). 感染72時間以後に両細胞でMDA-7の発現およびcleaved-PARPの増強を検出した. BAXの発現はHepG2で増加していたがHep3Bでは増加を認めなかった. cleaved-caspase8の発現は両細胞で増強し, p-STAT3はHepG2 で増強していた. 結論: mda-7/IL-24は効率的に肝癌細胞株にアポトーシスを誘導した. その誘導経路はp53およびBAXに非依存的でありcaspase活性化経路によると考えられた. STAT3もまたアポトーシスに関与していると考えられた.

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