早期胃癌術後に上部胆管癌 (異時性重複癌) を合併し, さらに胆管癌術後に残胃早期癌 (異時性多発癌), 肝内胆管粘液癌 (異時性3重複癌) を合併した3臓器 (組織) 4重癌の1切除例を報告する. 症例は69歳の男性で, 54歳時に早期胃癌で幽門側胃切除 (中分化型管状腺癌, m), 63歳時に上部胆管癌で尾状葉合併肝門部切除 (乳頭型, 2×2cm, 高分化型管状腺癌, ss, n0, stageII) を受けた. 今回, 前胸部・上腹部不快感とCA19-9高値で入院. 残胃に早期癌を認め, 内視鏡的粘膜切除を施行した (0-1型, 高分化型管状腺癌, m).US, CT, MRI で外側区域から前縦隔にかけて腫瘍を認め, 胆管癌の肝転移の診断で横隔膜・胸骨・心.合併肝外側区域切除を施行した. 腫瘍は大きさ7×5cm, 割面は黄白色, 分葉状を呈し, 組織学的に肝内胆管粘液癌と診断された (T3: 横隔膜・胸骨・心嚢, N0, M0, StageIII).術後7か月で多発骨転移にて死亡した.
