日本消化器外科学会雑誌
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小腸転移巣切除後に診断された食道原発メラニン欠乏性悪性黒色腫の1例
菅野 明弘内藤 広郎高橋 道長後藤 慎二上野 達也箱崎 半道
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2006 年 39 巻 1 号 p. 31-37

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抄録

小腸転移巣が原発巣より先行して発症するという特異な経過を示し, 剖検にて初めて診断された食道原発メラニン欠乏性悪性黒色腫の1例を経験した. 症例は74歳の男性で腹痛と貧血による倦怠感で発症した. 精査の結果, 空腸に2か所の隆起性病変を認め空腸切除術を施行した.組織学的には未分化癌と診断された. 手術後1年5か月経過時に嚥下時の食物通過障害が現れ, 精査したところ胸部中部食道に腫瘍を認めた. 粘膜面に露出した腫瘍部の生検では小腸腫瘍と同様の組織像を示す未分化癌と診断された. 後縦隔に径約8×5cmのリンパ節を認め, 前方へ左心房を右側へ食道を圧排していた. FP療法を施行しPRを得たが再燃し手術後2年1か月, 化学療法開始から7か月で死亡した. 剖検にて食道腫瘍はメラニン色素陰性, HMB-45抗体陽性であったことから, 小腸転移巣切除後に発症した縦隔リンパ節転移を伴う食道原発メラニン欠乏性悪性黒色腫と最終診断された.

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