症例は74歳の男性で, 平成8年10月にS状結腸癌の診断で, S状結腸切除術を施行した(stage IIIa). 術後の外来経過観察において, 術後11か月目に肝転移(S4)を認め肝部分切除術・胆. 摘出術を施行, 術後25か月目に再度肝転移(S6)を認め, 肝部分切除術を再施行した. その後, 補助化学療法を行っていたところ, 術後49か月目に黄疸が出現したため, 精査を加えたところ下部胆管に胆管軸上1.5cmに渡り狭窄を認め, 胆汁細胞診ではClass Vであった. 下部胆管癌と診断し減黄後, 膵頭十二指腸切除術を施行した. 腫瘍は直径25mm大で中心は膵内にあり, 胆管粘膜下層まで浸潤し, 幽門下リンパ節と大動脈周囲に示指頭大の転移を認めた. 組織型は高・中分化型管状腺癌で, 柵状構造を呈し, 大腸原発巣と同様な組織像であった. 大腸癌術後5年間に, 肝転移 (2か所) と膵転移を来し, おのおのその都度切除しえた1例を経験したので報告する.