日本消化器外科学会雑誌
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興味ある転移形式を呈した胃癌小腸転移症例の1例
長谷部 行健永澤 康滋塩川 洋之馬越 俊輔柴田 祐充子皆川 輝彦西田 祥二竹山 照明大谷 忠久長谷川 千花子
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2007 年 40 巻 1 号 p. 33-38

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抄録
悪性腫瘍の小腸転移は播種性によることが多いが, まれに血行性, リンパ行性によることもある. 今回, 血行性またはリンパ行性小腸転移の可能性が示唆された胃癌の小腸転移例を経験したので報告する. 症例は61歳の女性で, 腹痛, 嘔吐を主訴に来院した. 腹部CT, 腹部X線検査にてイレウス像を呈した. 上部消化管内視鏡検査にて胃体中部後壁に浅い陥凹を伴う潰瘍性病変を認めた. 生検にて胃癌と診断した. 胃癌治療, イレウス改善目的にて手術を施行した. 術中所見にて胃体中部に病変を認めた. 回腸末端部付近中心に数か所の黄白色の硬結を触知し, うち2か所は全周性の狭窄を呈しておりイレウスの原因と考えられた. 肉眼的腹膜播種なし, 術中洗浄細胞診class IIであった. 幽門側胃切除術, 狭窄部の小腸部分切除術を施行した.術中小腸の病変は炎症性腸疾患を考えたが術後の病理組織学検査にて胃癌の転移と診断された. 術後約20か月後腹膜再発のため永眠された.
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