日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌術後早期経口摂取を目的とした超音波検査によるgastric emptyingの評価
古泉 友丈角田 明良林 征洋榎澤 哲司安田 大輔鈴木 研也草野 満夫
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2007 年 40 巻 10 号 p. 1647-1654

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抄録
はじめに: 我々はX線非透過性マーカーを利用して, gastric ileus(以下, GI)の回復を指標にした大腸癌術後早期経口摂取を行っている. しかし, 本法はX 線被曝を伴うため, 代替する方法としてUSでGIの回復が評価可能か研究した. 方法: (1) 対照症例24例と大腸癌患者24例を対象として空腹時におけるUSを用いた胃幽門部面積 (PA) を測定した.(2) 健常者6例における空腹時胃排出能を, 水および全粥摂取前後の経時的なPAで評価した. (3) 大腸癌患者24例について術後第1病日の8時にマーカー20個を内服, 6時間後に腹部単純X線写真とPA測定を行った. 第2病日以降は9時に2つの検査を行い, 経口摂取はマーカーの70%以上の排出時点で開始した. 結果: (1) 対照症例と大腸癌患者の空腹時PAに有意差はなかった. (2) 摂取後のPAの経時的な測定では飲水後30分, 全粥摂取後240分でそれぞれ摂取前PA値に復した. (3) 大腸癌患者の経口摂取開始時期は, 術後45時間と排ガスの時期48時間より遅くなかった. マーカーによる評価では第2病日に71%の症例でGIが回復していた. 一方PAは術後第1病日では術前より高値であったが, 第2病日にはおおむね術前値に復し, GIが回復していた.したがって, マーカーとPAによる評価の推移が同等と考えられた. 考察: 超音波下のPAの測定でgastric ileusの回復が評価可能である.
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