抄録
症例は左側腹部の激痛を主訴に来院した20歳の女性で, 約4年前にも下腹部痛にて来院し腸間膜嚢腫と診断されていたが, 主訴の自然消失により来院が途絶えていた. 今回, US, CT, MRI, 小腸造影, 腹部血管造影X 線検査所見から出血, 感染, 捻転などを伴う腸間膜嚢腫の術前診断で開腹した. 開腹時, 空腸間膜に9×9×6cmの軟らかい白色調の腫瘍と腸間膜根部へ向かう漿膜の肥厚を認め, 約20cmの小腸とともに腫瘍を切除した. 病理組織学的にはリンパ管の拡張を伴う多房性の嚢胞内に乳び様液体が充満したリンパ管腫であった. 成人腸間膜リンパ管腫は比較的まれな疾患であり本邦報告例を含め報告する.