日本消化器外科学会雑誌
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術前放射線化学療法を施行し切除しえた局所過進展膵癌の1例
渡辺 正明蒲池 浩文田原 宗徳横尾 英樹中西 一彰神山 俊哉松下 通明藤堂 省
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2007 年 40 巻 11 号 p. 1828-1833

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抄録

局所過進展膵癌に対し術前放射線化学療法施行後に切除しえた症例を報告する. 症例は54歳の男性で, 2005年6月に心窩部不快感にて近医を受診, 門脈全周性狭窄, 上腸間膜動脈周囲神経叢浸潤を伴う局所過進展膵癌の診断となった. 当科紹介後, 術前放射線化学療法として体外照射 (50.4Gy/28Fr) と化学療法 (Gemcitabine 200mg/week, 総量1,000mg) を施行した.CTでの効果判定でSDであったが, 遠隔転移の出現を認めなかったため, 照射終了2か月後に膵頭十二指腸切除術, 門脈・上腸間膜静脈合併切除を施行した. 病理組織学的検査では線維性間質の中にごく少量の中分化型腺癌細胞が散在するのみであり, 術前放射線化学療法が有効であったと考えられた. 術後合併症なく経過し, 現在術後12か月経過し無再発生存中である.

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