日本消化器外科学会雑誌
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胃に発生した脱分化型脂肪肉腫の1例
最上 希一郎小棚木 均澤田 俊哉関 仁史作左部 大大内 慎一郎斎藤 謙
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2007 年 40 巻 5 号 p. 582-586

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抄録
症例は69歳の女性で, 高度の貧血で発症した. 上部消化管造影検査や内視鏡検査, 腹部CTで胃体上部大彎から胃内外に発育する腫瘍を認めた. 術前に確定診断が得られず, 広義の胃間葉系腫瘍として手術を施行した. 腫瘍は基部を有し, それから3方向に発育していた. 基部の胃壁を全層性に切除して標本を摘出した. 切除標本の病理検査では, 大部分は粘液性, 一部線維性の基質の中に紡錘形の異型細胞と多核巨細胞が存在する悪性線維性組織球腫様の所見であった. しかし, 腫瘍のごく一部に脂肪細胞と非定型的な脂肪芽細胞を認めたことから脱分化型脂肪肉腫と診断された. 胃原発の脂肪肉腫は, 本邦, 欧米合わせて31例の報告しかないが, 脱分化型の報告はない. 本例が胃に発生した脱分極型脂肪肉腫の初めての例と思われたので報告する.
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