日本消化器外科学会雑誌
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肺癌十二指腸転移術後長期生存の1例
井上 雅史岡 伸一山根 成之中村 誠一牧野 正人池口 正英
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2007 年 40 巻 5 号 p. 593-598

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抄録
症例は62歳の男性で, 平成11年1月, 右非小細胞性肺癌, cT4, N2, M0, Stage IIIBと診断された. 化学療法と放射線療法後, 7月に右肺上葉切除. 肺尖部胸壁合併切除. 上大静脈合併切除および再建. 心膜合併切除. ND2a郭清を施行した. 病理組織診断は低分化型腺癌であった. 平成12年1月, 発熱と貧血を主訴に再入院した. 腹部CTで十二指腸水平部に腫瘤を指摘され上部消化管内視鏡検査, 生検の結果, 肺癌十二指腸転移と診断された. 平成12年2月, 腫瘍を含む十二指腸. 空腸部分切除, 左半結腸合併切除術を施行した. 病理組織学的検査では低分化な大細胞型腺癌を認め肺癌原発巣の組織像と一致した. 術後Docetaxelによる化学療法を施行した. 現在, 肺癌切除後80か月, 十二指腸転移巣切除後73か月を経過し再発の兆候なく外来通院中である. 肺癌消化管転移は一般的に予後不良であるが本例のごとき根治可能な症例もあることを報告した.
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