抄録
症例は45歳の男性で, 右下腹部痛および回盲部腫瘤にて当院紹介入院となる. 盲腸粘膜下腫瘍の診断にて1998年3月結腸右半切除術施行, 組織学的診断は盲腸原発内分泌細胞癌であった. 同12月のCTにて腹部大動脈周囲リンパ節再発を認め, 肺小細胞癌に準じPE/CVA交替化学療法を施行, 1999年12月および2000年8月の評価は, それぞれPR, NCであった. 2001年3月のCTにて右副腎および総肝動脈周囲リンパ節への転移を, 同9月のCにて左腎動脈周囲リンパ節転移を認め, それぞれに放射線療法を施行, 効果はともにPRであった. 2002年2月のCTにて肝転移出現, CDDP+CPT-11による化学療法を施行, 肝転移は消失した. 同9月に下肢脱力感などが出現, MRIにて胸随転移認め椎弓切除術を施行した. 2003年2月より両下肢完全麻痺となり, 以後積極的治療は行わず同10月, 術後67か月にて死亡した. 長期生存を得た本症例は大腸原発内分泌細胞癌に対する集学的治療の可能性を示唆した.