日本消化器外科学会雑誌
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術前にダブルバルーン式小腸鏡にて病変部を観察し腹腔鏡補助下に切除術を行った狭窄型虚血性小腸炎の1例
菅 隼人古川 清憲鈴木 英之鶴田 宏之松本 智司秋谷 行宏進士 誠一松田 明久田尻 孝
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2007 年 40 巻 8 号 p. 1514-1519

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抄録
術前にダブルバルーン式小腸内視鏡 (double balloon enteroscopy; 以下, DBEと略記) を行い狭窄型虚血性小腸炎が疑われ, 腹腔鏡補助下に手術を行った症例を1例経験した. 症例は61歳の女性で, 高血圧, 心房細動, 下肢静脈血栓症の既往あり. 約1か月前に腹痛・下痢症状があり, 急性腸炎の診断にて当院に入院した. 3週間後に軽快して退院したが, その数日後にイレウスと診断され再入院した. CTで小腸の一部に腸管壁の肥厚とその口側腸管の内腔拡張像を認めた. イレウス管にて腸管を減圧後, 小腸造影検査を行い狭窄部位を確認したのち, DBEを行い病変部の観察と生検を行った. 病理組織学的検査所見より粘膜下に炎症細胞の浸潤を認め虚血性病変が疑われた. 後日腹腔鏡補助下手術を行い病変部を切除した. 病理組織学的検査にて虚血性小腸炎と診断された. DBEにて術前に病変部を観察しえた虚血性小腸炎の本邦報告例はみられず貴重な症例と思われ報告する.
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