日本消化器外科学会雑誌
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多発性小腸壁内転移を伴った小腸未分化癌の1例
松岡 翼葛城 圭松崎 太郎高島 澄夫若狭 研一奥野 匡宥
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2008 年 41 巻 1 号 p. 123-128

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抄録

症例は56歳の男性で, 心窩部痛, 左側腹部腫瘤自覚を主訴に受診された. 腹部CTにて小腸壁が肥厚した腫瘤像を認め, 小腸造影X線検査では空腸を中心に多数の腫瘤圧排像がみられ多発性小腸腫瘍が疑われた. 入院経過中にイレウス症状がみられ, ショック状態となった. 消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し, 緊急手術を施行, 術中所見ではトライツ靭帯より約40cmの空腸から小腸全体に至る, 大小さまざまな十数個の腫瘍を認め, 壊死穿孔を伴った. 病理組織学的には腫瘍は未分化細胞からなり, PAS染色にて粘液を証明しえず, 神経内分泌腫瘍マーカーやhCGも陰性であったため原発性小腸未分化癌と診断した. 術後経過は良好であったが, 腫瘍出血のため状態が悪化し, 術後37日目に死亡した. 小腸未分化癌は極めてまれな疾患である. 今回, 我々は多発性小腸壁内転移を伴った原発性小腸未分化癌の症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

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