日本衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-6482
Print ISSN : 0021-5082
ISSN-L : 0021-5082
脳卒中死亡率を異にする農漁村住民の血液化学成分値の比較研究
第1報 血液酸塩基平衡状態について
山田 文夫
著者情報
ジャーナル フリー

1967 年 22 巻 2 号 p. 383-391

詳細
抄録
宮城県内の脳卒中死亡率の異なる内陸農村Hと三陸沿岸漁村Kの40歳以上の一般住民男768名, 女1,053名について最大・最小血圧値を測定すると共に血液を採取し, 血清CO2含量及び血清CO2結合量を Natelson 超微量血液ガス分析器により測定して両村男女について比較検討した結果次の成績がえられた。
(1) 最大・最小血圧のレベルは男女年齢層別には両村間に若干の相違もみられるが全年齢層を通じて確率積算すると, 農漁村間に有意差は認められない。
(2) 血清CO2含量は男女各年齢層とも農村Hに較べ漁村Kに高い傾向を示しているが, 確率積算法により全年齢層を通じて比較検定すると危険率0.1%で有意差が認められる。
(3) 血清CO2結合量についても, 男女各年齢階層とも農村Hに較べ漁村Kが高値を示すが全年齢層を通じて確率積算すると危険率0.1%の有意水準で差が認められる。
(7) 血清CO2含量と血清CO2結合量およびこれらと年齢・最大血圧・最小血圧・血清総Ca量・血清透析性Ca量・血清総塩基量・全血比重・血清コレステロール・上腕囲との相関を地域別・性別に検討した結果, 血清CO2含量とCO2結合量との間には農漁村男女とも, 危険率1%で有意水準に達する順相関が認められる。血清CO2含量と血清総塩基量との間には危険率5%の有意水準に達する順相関が農村男女両群に認められ, また血清CO2結合量と全血比重との間に危険率5%の有意水準に達する逆相関が漁村の男についてのみ認められた。
著者関連情報
© 日本衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top