日本衛生学雑誌
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悪性新生物死亡に及ぼす地域生態学的因子の影響
性・年齢別の解析
村田 勝敬荒記 俊一横山 和仁
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1986 年 41 巻 4 号 p. 752-763

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抄録

悪性新生物死亡に及ぼす性・年齢別の地域生態学的因子の影響を明らかにするために46都道府県(日本)の社会生活統計指標(20指標)を説明変数とし,悪性新生物(胃,肺,乳房,子宮,白血病および全悪性新生物)死亡率を目的変数とする重回帰分析(逐次変数選択法)を5年間隔で2回実施した。これらの説明変数は以前の我々の解析(因子分析)により8群の基本的な地域生態学的因子に分類されていた。
以下の4因子が2年次とも特定の性・年齢群の悪性新生物死亡率(カッコ内)に有意な影響を与えたリスクファクターとして抽出された。1)都市居住(高年女子の胃,肺,乳房および子宮の悪性新生物と高年男女および中年女子の全悪性新生物)。2)地方居住(中年男子の白血病と全悪性新生物および女子学童の白血病)。3)低所得(中高年女子の子宮,中年女子および高年男子の肺,および高年男子の全悪性新生物)。4)高齢人口(中年男子の胃悪性新生物,女子乳幼児の白血病,および若年および高年男子の全悪性新生物)。
性・年齢別の全悪性新生物死亡率は,肺悪性新生物および白血病と共に,高年男子で5年間に有意な上昇を示した。46都道府県内の市部における肺,乳房,子宮および全悪性新生物の訂正死亡率は郡部と比べ2年次とも有意に高かった。

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