人文地理
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研究ノート
日本の都市圏の競争力:ピラミッドモデルの実証的検定
コムローシ エーヴァ藤井 正
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2012 年 64 巻 5 号 p. 434-451

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抄録

本研究では,まず長田進の方法によって,日本の141都市圏(Japanese Functional Urban Area)を設定した(Osada 2003)。次にこれら都市圏を,経済競争力に関するピラミッドモデル(Lengyel 2004)にもとづくクラスター分析により,三つのクラスターに分類した。三つのクラスターは,ピラミッドモデルにおける基本カテゴリー・発展要因・成功要因の差違により構成されたものである。また最終的なクラスター間の距離は,第1クラスターを単独で構成する東京大都市圏と他の都市圏との間の競争力の大きな格差を示し,経済資源と人的資源の不均等分布を明らかにしている。一方,中位の競争力を示す第2クラスターは,多くが太平洋ベルト地帯の都市圏群であるが,富山や那覇などの地方都市圏や郊外中心,あるいは小規模な都市圏も含め分類されており,これは今後の均衡ある地域発展を考える重要な鍵となる。このように都市圏の競争力に影響を与える要因が,日本では都市規模以外にも見られる点もここで見いだされた新たな知見である。

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© 2012 人文地理学会
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