本研究では,広島アジア競技大会を例に,開催自治体等のスポーツ関連政策を踏まえつつ,国際スポーツイベントが開催自治体のスポーツ活動にどのような影響をもたらしたのかを解明した。その上で,国際スポーツイベント開催を通じて地域スポーツを活発化させる3つのポイントを指摘した。第1は,国際スポーツイベントを開催すれば地域スポーツが自動的に活発化するわけではなく,自治体の継続的な施策展開がその活発化に不可欠だということである。第2は,自治体が国内外の関連政策および,当該自治体の地域課題と住民ニーズに対応したスポーツ振興方針を設定し,その上で国際スポーツイベントを効果的に活用することである。第3は,社会情勢や地域状況の変化に対応して,スポーツ振興の体制や仕組みを柔軟に更新していくことである。すなわち,国際スポーツイベントを地域スポーツのカンフル剤として機能させるには,自治体の継続的な施策展開が不可欠であり,しかもその施策は地域課題と住民ニーズに応じて適切に設定し,社会情勢の変化に対応して柔軟に更新することが必要となる。