頭頸部癌
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頸部
当科における甲状腺髄様癌の経験
―術前血清カルシトニン/CEA比は髄様癌の予後予測に有用である―
杉谷 巌鎌田 信悦
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2004 年 30 巻 4 号 p. 583-588

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抄録
甲状腺髄様癌では血清calcitonin, CEA値が腫瘍マーカーとして有用であり, calcitonin分泌に比べCEA分泌が優位のものは予後不良であるといわれている。髄様癌におけるcalcitonin/CEA比の予後因子としての有用性について検討した。当科にて経験した髄様癌初取扱い20例 (1986~2004年, 散発性13例, 家族性3家系7例) の5年無再発生存率は80% (再発5例 ; 縦隔4, 頸部3, 肝2), 疾患特異的5年生存率は88% (肝転移の2例が原病死) であった。無再発生存率に影響する予後不良因子として, 術前calcitonin (pg/ml)/CEA (ng/ml) 比10以下, リンパ節転移10個以上が有意であった。術後calcitonin, CEAが正常化した13例には再発を認めなかったが, calcitonin/CEA比が10を超える症例と術後腫瘍マーカー正常化症例とは同一症例であった。calcitonin/CEA比により, 髄様癌の予後を予測することができるものと思われた。
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© 2004 日本頭頸部癌学会
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