頭頸部癌
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基礎
頭頸部癌におけるDihydropyrimidine Dehydrogenase, Thymidylate Synthase, Orotate Phosphoribosyl Transferaseの発現と臨床病理学的因子に関する検討
伊藤 吏小池 修治甲州 秀浩那須 隆阿部 靖弘稲村 博雄青柳 優
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キーワード: 頭頸部癌
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2004 年 30 巻 4 号 p. 657-661

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抄録
5-FUは頭頸部癌において汎用される抗癌剤の一つであるが, その抗腫瘍効果は標的酵素であるthymidylate synthase (TS), 分解系の律速酵素であるdihydropyrimidine dehydrogenase (DPD), 抗腫瘍効果発現のために必須の代謝酵素orotate phosphoribosyl transferase (OPRT) の多寡により影響されると考えられている。今回, 頭頸部扁平上皮癌14症例を対象として, 生検および手術標本からTS酵素量, DPD活性, OPRT活性の発現量を測定し, TNM分類や組織分化度との関連について検討したところ, DPDは低分化型扁平上皮癌, pT4, pN2以上の症例で有意に高く, TSはpT3以上の症例で有意に高値であった。これらの結果から低分化型進行癌ではDPD活性およびTS酵素量が多いことから5-FUに抵抗性を示す可能性が示唆され, 今後はDPD, TS, OPRTの各種酵素の発現量を考慮したオーダーメイド治療を検討する必要があると考えられた。
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© 2004 日本頭頸部癌学会
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