頭頸部癌
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疫学
当科で経験した3重癌以上の多重癌症例の検討
佐藤 克郎渡辺 順花澤 秀行高橋 姿
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キーワード: 頭頸部癌, 3重癌
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2006 年 32 巻 3 号 p. 373-377

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抄録
当科で最近10年間に経験した,全身で合計3重癌以上の多重癌13例45部位につき臨床的に検討した。発生部位は頭頸部では口腔癌が最も多く,頭頸部以外では食道,肺の多重癌が多かった。リスクファクターとして喫煙歴と飲酒歴が高率にみられたが一定の傾向はなく,喫煙歴や飲酒歴のない症例でも多重癌が発生していた。第2癌以降の多くは先行癌の治療前検査と治療後の経過観察で早期に発見されており,治療前後のスクリーニングによる早期発見の重要性が示唆された。前癌の治療後5年以上たって発見される多重癌も多く,特に頭頸部領域の長期にわたる経過観察が重要と考えられた。また,3重癌以上の多重癌症例でも長期生存例はあり,早期発見・治療を目的とした長期の経過観察が重要と思われた。
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© 2006 日本頭頸部癌学会
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