西日本皮膚科
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症例
Lymphadenosis Benigna Cutis
—症例報告と本邦106例の集計—
沼田 恒実稲田 修一森安 昌治郎出来尾 哲
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1978 年 40 巻 1 号 p. 40-47

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抄録

Lymphadenosis benigna cutisの2例を報告し, さらに本邦報告例106例の統計的観察を試みた。症例1は30才男性で誘因なく左鼻翼部に半球状に隆起した表面平滑な紅色丘疹を生じ, 切除により以後再発をみない。症例2は20才女性で誘因なく右鼻翼部に半球状に隆起した弾性硬の赤褐色丘疹を生じた。生検施行後約1ヵ月の経過で自然消退し, 現在まで再発をみない。本邦例106例の男女比は1:2で女性に好発し, 好発年令は明らかでない。限局型と播種型の比は8:1であり外国例に比し限局型の頻度が高い。発生部位は顔面が82.7%を占めとくに鼻部·頬部に好発し, 形態は結節·丘疹が多い。臨床検査では異常は認められず, 病理組織学的にリンパ濾胞を呈するものが多く胚中心の形成もみられる。治療法としては放射線照射が多く用いられ有効であるが, 切除·摘出も行なわれている。また自然治癒もある。外国例に比し誘因は不明もしくはないものが大部分を占める。

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© 1978 日本皮膚科学会西部支部
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