2006 年 32 巻 4 号 p. 445-448
過去15年間にStage I,II舌扁平上皮癌に対して組織内照射を施行し,原発巣が制御された106例を対象として検討を行った。後発頸部リンパ節転移は38例(35.8%)に生じ,転移発現までの期間は2ヶ月から7年8ヶ月に分布していた。38例中,頸部郭清術が行われたのは34例でそのうち23例が救済しえた。疾患特異的5年累積生存率は,T病期分類ではT1:73%,T2:62%と差が無く,原発巣の腫瘍浸潤様式(山本―小浜分類)別では,2型:100%,3型:96%,4C型:62%,4D型:0%であり,2型,3型と比較して4C,4D型では差が認められた。Stage I,II舌扁平上皮癌ではT病期に関係なく後発転移発症例は,転移陰性群:100%に対して転移陽性例:65.6%と予後不良の傾向であった。経過観察を行っていくにあたっては腫瘍浸潤様式も考慮のうえ,頸部後発リンパ節転移のより早期の発見が望まれると考えられる。