頭頸部癌
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当科における聴器癌症例の検討
―治療法と予後の関係を中心に―
佐藤 克郎富田 雅彦渡辺 順松山 洋高橋 姿
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2008 年 34 巻 4 号 p. 582-586

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抄録

当科で加療した聴器癌の36例につき検討した。期間内の聴器癌は全頭頸部癌の3.5%にあたった。原発巣は外耳道癌が67%と最も多く,中耳癌,耳介癌と続いた。年齢の中央値は66歳,男女比は約3対2であった。外耳道・中耳癌の主訴は耳漏が最も多く,耳掻痒感,耳痛が続いた。外耳道・中耳癌の26%に耳手術の既往があり,35%に耳掻きの常習癖があった。病理組織型は扁平上皮癌が94%,悪性黒色腫が6%であった。扁平上皮癌の62%に手術を施行,残り38%に根治照射を行い,手術例の67%に術後照射を追加した。扁平上皮癌症例の5年生存率は外耳道癌が74%と最も良好で,耳介癌67%,中耳癌34%と続いた。手術可否別の5年生存率は手術施行例82%,手術不能例29%と有意差を認めた。手術施行例の術後照射施行例と非施行例の5年生存率に有意差はなく,聴器癌の治療においては,積極的に一塊切除手術を行い,症例により術後照射を追加する方針が妥当と思われた。

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© 2008 日本頭頸部癌学会
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