抄録
〈背景・目的〉本研究では,頭頸部癌術後に摂食嚥下リハビリテーション(摂食嚥下リハ)が,摂食嚥下機能,構音機能や疾患特異的QOLへ及ぼす影響を経時的に検討した。
〈対象・方法〉頭頸部癌の外科治療を目的として入院した頭頸部癌患者27名を対象とし,摂食嚥下リハ群と非リハ群の2群に分類して,術後2ヶ月間の摂食嚥下リハの効果を経時的に評価した。
〈結果〉頭頸部癌手術によって摂食嚥下機能,構音機能や疾患特異的QOLが有意に低下した。2ヶ月間の摂食嚥下リハにより,摂食嚥下機能は有意に改善し,特に,FDA(合計)とその下位項目「舌」や「顎」の改善が良好であった。単語明瞭度でも改善傾向を認めた。また,疾患特異的QOLも一部有意な改善がみられた。
〈結語〉摂食嚥下リハが,口腔機能の一部やQOLの改善をもたらすことを明らかにした。