頭頸部癌
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その他臨床
精神神経系既往症を有する頭頸部進行癌症例の治療
清野 由輩中山 明仁林 政一竹田 昌彦宮本 俊輔松葉 宏起岡本 牧人
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2010 年 36 巻 1 号 p. 119-124

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抄録
頭頸部進行癌症例では中枢神経系既往症を伴う場合,治療の適応を検討する際に問題となる。
2004年1月から2008年12月までの5年間で精神疾患を有する頭頸部癌進行症例の検討した。治療後合併症の発生率は75%だった。合併症死した症例はなかった。
1例を提示する。46歳の男性。非定型精神病で精神神経科病院に入院中に当科に紹介され,下咽頭癌(T2N3M0)の診断となった。喉頭全摘出術,咽頭部分切除術,頸部郭清および頸部皮膚合併切除,再建を行った。しかし術後合併症が多発した。手術より4ヶ月後に常食摂取で退院となった。入院中は精神科と協同して精神症状に対応し,退院後の社会的体制も整えた。
確実性の高い医療が求められている中で,治療の限界に挑みつつも安全で効率的な医療を行わなければならない。頭頸部癌治療の適応は癌の進行度や全身状態,さらに社会的背景なども総合的に評価して判断することが重要と考えられた。
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© 2010 日本頭頸部癌学会
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