我々は,古典的なtubed flapを遊離腹直筋皮弁との連合皮弁にすることで安全かつ有効に用いた貴重な症例を経験したので報告する。症例は67歳男性で,他院にて下顎歯肉腫瘍に対し,放射線照射30Gyおよび腫瘍切除後チタンプレートと両側DP皮弁で数回の再建が行われた。しかし,皮弁壊死によって下顎が欠損の状態となった。これに対し,左胸腹部に巨大なtubed flapが作成されたが,患者の希望で当科紹介受診となった。初診時口腔底を含めて下顎が広範囲に欠損し,全く閉口できない状態であった。手術は,tubed flapを遊離腹直筋皮弁との連合皮弁として下顎欠損部に移植し無駄なく用いた。皮弁は,すべて完全生着した。両頬部にハンモック状に移植したtubed flapによって再建下顎の下垂が防止され,機能的整容的にほぼ満足する結果が得られた。