頭頸部癌
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口腔
口腔扁平上皮癌一次症例における原発巣切除断端の臨床病理組織学的検討
―T1・T2症例の上皮性異形成と局所再発に関する検討―
佐藤 英明田中 彰又賀 泉
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2010 年 36 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
口腔扁平上皮癌T1・ T2症例で術前治療を行わず原発巣根治的切除を行った43症例を対象とし,切除断端における上皮性異形成と局所再発について検討した。
43例中切除断端部に上皮性異形成を認めた症例が19例で,そのうち再発を認めたものが7例,異形成を認めなかったものは24例で,局所再発は1例であった。この結果より切除断端における上皮異性形成の存在が腫瘍再発に大きくかかわっている可能性が示唆された。さらに切除断端に上皮性異形成を認めた19例において,原発腫瘍の組織学的悪性度をAnnerothの分類を用いて再発について統計学的に比較検討を行ったが,両群間に有意差は認められなかった。
また舌癌における再発症例で,切除断端に上皮性異形成を認める症例について,日本口腔腫瘍学会学術委員会の「舌癌取り扱い指針」ワーキンググループの提唱する扁平上皮内腫瘍(squamous intraepithelial neoplasia,以下SIN)の分類を用いて検討したところ全例がSINに該当し,切除断端の上皮性異形成の判定にはSINの分類が有効である可能性が示唆された。
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© 2010 日本頭頸部癌学会
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