2011 年 37 巻 1 号 p. 58-61
1991~2008年の18年間に当科で下咽頭癌に対して咽喉摘・咽喉食摘を施行した37例につき検討した。検討症例は同期間の全下咽頭癌症例の31.4%に当たった。年齢は39~83歳(平均65歳),性別は男性が94.6%と大多数を占めた。病理組織型は全例扁平上皮癌で,病期はIVA期が67.6%と最も多く,III期,II期,IVB期と続いた。術式は咽喉摘が62.2%,咽喉食摘37.8%であった。術後照射は62.2%,化学療法は40.5%に施行されていた。再発は37.8%に認められ,全体の疾患特異的5年生存率は58.5%であった。病理学的にハイリスクであった術後照射施行群の予後は非施行群と有意差がなく,これらの症例に対する術後治療は有用であった可能性が示唆された。化学療法施行群は局所・頸部再発が有意に少なく,予後が有意に良好で,化学療法を含めた集学的治療が有用と推察された。