頭頸部癌
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上・中・下咽頭(頸部食道癌を含む)
当科における下咽頭扁平上皮癌症例の検討
石永 一大津 和弥中村 哲宮村 朋孝湯田 厚司竹内 万彦
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2011 年 37 巻 1 号 p. 53-57

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抄録
2005年から2009年の間に当科で初回治療を行った下咽頭扁平上皮癌53例に対し検討を行った。そのうち40例は800mg/m2の5-FUを1日目から5日目にかけて投与し,6日目に80mg/m2のシスプラチンを投与するレジメンを用いた同時化学放射線療法にて治療を行った。局所CRに至ったのは40例中34例,85%であり,切除可能例では97%であった。全体では疾患特異的5年生存率は51%であり,切除可能例では68%であった。
主な有害事象は白血球減少と粘膜炎であるが,それらは許容範囲内であり,死に至るような重篤な例はみられなかった。今回の検討でシスプラチン(80mg/m2)と5-FU(800mg/m2)を用いた同時併用化学放射線療法は下咽頭扁平上皮癌に対し効果的な治療法であり,有害事象も共用できる範囲であると思われた。しかしながら進行下咽頭癌に対する新しい治療戦略における更なる見当が必要と思われた。
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© 2011 日本頭頸部癌学会
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