頭頸部癌
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口腔癌の機能温存を目指した集学的治療
口腔癌検診は有効か?
―地域歯科医師会と行ってきた20年間の実績―
柴原 孝彦野村 武史山内 智博山本 信治薬師寺 孝菅原 圭亮高野 伸夫片倉 朗
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2011 年 37 巻 3 号 p. 381-385

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抄録
今回,1992年から千葉市歯科医師会とともに『口腔癌検診』を20年間継続し,その検診成績の内容とともに,当該期間中に当科を受診した口腔癌患者動態から検診の有効性について検討を行ったのでその概要を報告する。検診受診者は同歯科医師会員により問診,その後専門医による視診,触診を中心とした検診を行った。検診の結果,精査や治療が必要な場合には二次医療機関へ紹介した。
20年間におよぶ検診の結果,総受診者数は3429名であった。二次医療施設紹介者のうち3名に悪性腫瘍が発見された(発見率:0.1%)。3例とも直ちに治療が施され,術後の機能的障害等なく早期に社会復帰が可能であった。また,検診期間を2期(1989~1998年,1999~2008年)に分けて,各期に当科で治療を実施した口腔癌の病期と累積5年生存率を算出し,検討を行った。前期よりも後期の方が進行癌の割合が減少し,初期癌が増加していた。5年生存率は前期が78.1%であるのに対して,口腔がん検診実施後の後期は86.3%であった。一概に『口腔癌検診』のみが,この減少の要因であると言い切ることはできないが,限られた地域内での患者動態に変化を与えた一つの因子と考えられた。
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© 2011 日本頭頸部癌学会
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