頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
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ISSN-L : 1349-5747
個別化を目指す薬物療法
HPV陽性中咽頭癌に対する個別化治療戦略
水町 貴諭畠山 博充加納 里志坂下 智博鈴木 清護本間 明宏折舘 伸彦福田 諭
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2011 年 37 巻 3 号 p. 394-397

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抄録
中咽頭扁平上皮癌83例を対象にHPV感染と治療成績との関連について検討した。HPV陽性例は26例(HPV16陽性22例,HPV18陽性2例,HPV35陽性1例,HPV58陽性1例)であった。5年粗生存率の比較ではHPV陽性例は78.1%,陰性例は48.9%であり,HPV陽性例の方が有意に(p=0.0024)生存率が高かった。放射線化学療法施行症例においてもHPV陽性例の方が有意に高い生存率であった(85.9% vs 38.9%,p=0.0037)。しかし,HPV陽性例に対して放射線単独治療を行った5例のうち3例が再発した。HPV陽性中咽頭癌症例は予後が良好で放射線化学療法に対する治療成績も良好であるが,欧米で試みられている治療強度を下げた治療を本邦で行うには現時点では時期尚早であると考えられた。
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© 2011 日本頭頸部癌学会
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