2013 年 39 巻 3 号 p. 368-373
頭頸部再建において,術後皮弁壊死や癌の再発などにより再遊離組織移植を要する事がある。1992年7月から2011年7月までに当院で行った遊離組織移植による頭頸部再建1834例中,再移植は104例に行われていた。これらのうち前回の移植床血管を再利用したのは28例であった。再移植の理由として,術後皮弁壊死13例(46.4%),再発癌・二次発癌12例(42.9%),その他の理由3例(20.7%)であった。前回の動脈のみを再利用したのは11例(39.3%),静脈のみは10例(35.7%),動静脈ともに再利用したのは7例(25.0%)であった。再利用されていたのは,主に上甲状腺動脈と内頸静脈本幹およびその分枝であった。ただし,照射群では移植床血管の再利用率はより低かった。1例で皮弁完全壊死を生じ,全体の皮弁生着率は96.4%であった。症例を選べば,移植床血管の再利用は可能と考えられた。