頭頸部癌
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頭頸部癌の先端的な放射線治療
鼻副鼻腔悪性腫瘍に対する陽子線治療
全田 貞幹秋元 哲夫
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2013 年 39 巻 4 号 p. 402-404

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抄録
陽子線治療は,水素の原子核を加速したもので放射線治療の一種である。陽子線は体内に入っても表面近くではエネルギーを放出せず,停止する直前にエネルギーを放出して大きな線量を組織に与える性質(ブラッグ・ピーク)があり,病巣の深さや大きさに合わせてこのピークの深さや幅を拡げることにより精密な治療を実現できる。特に視神経や脳などの重要臓器が近接する鼻副鼻腔領域ではこの特性を最大限に生かすることが可能である。
当院ではこれまで鼻・副鼻腔腫瘍に対する陽子線治療の成績を組織型別,および進行度別(T4もしくはKadish C)で発表してきた。
嗅神経芽細胞腫では5年生存率93%,悪性黒色腫においても3年生存率58.0%,頭蓋内浸潤を伴う悪性腫瘍に対する治療成績も3年生存率59.3%と,他のモダリティーに対して遜色ないと考えられる。
一方晩期毒性に関する検討では1999年から2008年に当院で陽子線治療を行った鼻副鼻腔腫瘍の患者で1年以上の経過をfollowしている患者91名を対象に追跡を行ったところ追跡期間中央値57.5ヶ月(12.4~162.7)で,grade 3,4の毒性出現率はそれぞれ14.4%,6.6%であった。grade 2以上の毒性が発生するまでの期間は39.2ヶ月であった。視力低下grade 4を5例確認したが3例は4年以上経過してから発症していた。
毒性に関しては3年以上経過してから発症する例が多く,観察期間が短いと過小評価してしまう危険がある。既報や他のモダリティーとの比較をおこなう場合には観察期間を揃える必要があると考えられた。
今後新規治療の有用性を示すには自治療の特性に加え競合治療との比較検討が必須と考える。施設が限られランダム化試験が難しい背景を考慮し,質の高い多施設共同のコホート研究をはじめ各々の施設の協力関係を築くことが求められるだろう。
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© 2013 日本頭頸部癌学会
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