抄録
頭頸部癌転移性頸部リンパ節の頸動脈浸潤の術前画像評価を検討した。対象は術前に頸部造影CTで頸動脈浸潤が疑われ,手術治療を実施した14例である。術中に頸動脈浸潤が確認され頸動脈合併切除したのは10例で,浸潤がなく頸動脈を温存した例は4例である。頸動脈浸潤例の頸部造影CTで頸動脈と転移リンパ節の接触角度は180度以上であった。接触角度が270度以上の例では全例頸動脈浸潤していた。頸部MRIのT2強調画像で頸動脈周囲の全周に低信号帯の不明瞭さがない例では頸動脈浸潤がなく,低信号帯が全周不明瞭である例では全例頸動脈浸潤があった。病理組織学的頸動脈外膜浸潤部位と頸部MRIの頸動脈周囲低信号帯の不明瞭部を7例で比較検討した。動脈外膜浸潤部に一致してMRI 低信号帯不明瞭性がみられ,動脈外膜浸潤角度とMRI 低信号帯不明瞭性角度は相関した。MRI 低信号帯不明瞭性は頸動脈外膜浸潤を示唆する所見であると思われた。