舌半切除後の再建では概ね良好な機能が維持されるという報告が多い。しかし,客観的検査と主観的意見などの評価方法によって差が生じるため,必ずしも良好な結果と言えない場合もある。今回我々は,舌半切除症例の術後機能向上のために手術別による術後機能の違いを数種類の客観的検査を用いて評価した。対象は舌半切除症例54例で,再建ありが49例,再建なしが5例であった。移植皮弁は,腹直筋皮弁7例,深下腹壁穿通枝皮弁2例,前外側大腿皮弁32例,前腕皮弁5例,腓骨皮弁3例であった。切除範囲,皮弁の有無と種類,舌尖形成法,口腔底小三角弁の有無について術後機能を比較検討した。その結果,切除範囲において術後機能特に舌の可動性に有意差を認めた。皮弁の有無と種類,舌尖形成法,口腔底小三角弁の有無については有意差を認めなかった。切除範囲では舌根の切除範囲が広い程舌の可動域の縮小を認め,舌下面の拘縮予防目的で行っている小三角弁では術後機能の大きな改善を認めなかった。