【背景】甲状腺濾胞癌は遠隔転移を生じる頻度が高い。濾胞癌において遠隔転移の存在は予後不良とされる。今回の検討では遠隔転移を生じる危険因子を明らかにすることを目的とした。
【対象】濾胞癌24例を対象にretrospectiveに検討した。
【結果】浸潤様式(
p=0.01),脈管侵襲の有無(
p=0.04)で統計学的な有意差を認めた。5年,10年疾患特異的生存率はそれぞれ95.2%,87.9%であった。初診時に3例(13%),初回術後を含めると6例(25%)に遠隔転移を認め,転移部位は肺3例,肺と骨と脳1例,肺と骨1例,骨1例であった。原病死したのは2例で,いずれも遠隔転移による死亡であった。
【結論】広汎浸潤型,脈管侵襲の有無が遠隔転移の危険因子と考えられ,これら臨床所見をもつ症例については,遠隔転移が生じる可能性を念頭においた経過観察が重要である。
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