2015 年 41 巻 3 号 p. 353-357
上顎全摘術を習得するには,三次元的な解剖の理解が必要であること。手際よく手順を考えて行わないと,手術時間が延長し,出血量が増加する。また,化学放射線療法による局所制御率の向上により,上顎全摘術を経験する機会が少なくなった(経験不足)という問題点がある。しかし,エナジーデバイスと呼ばれる手術機器の登場は,手術時間や出血量を軽減させた。上顎全摘術は,頭頸部外科の「頭」の領域における基本的かつ中心的な手術であり,習得することで顎顔面外科領域における他の手術にも応用できると考える。基本的な上顎全摘術について述べる。