頭頸部癌
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口腔癌に対する治療の最適化
早期口腔癌における頸部の取扱い
松塚 崇鈴木 政博仲江川 雄太小林 徹郎川瀬 友貴室野 重之
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2017 年 43 巻 3 号 p. 328-332

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抄録
早期口腔癌の頸部リンパ節の取扱は郭清を行わずに厳重経過観察する方針(WW)は勧められず,予防的頸部郭清術(END)が推奨されている。頸部郭清術は合併症や術後障害をきたし易いので,当科ではENDの際に頸動脈鞘と椎前の筋膜(頸筋膜椎前葉)を可及的に温存し血管や神経の損傷を予防している。
早期口腔癌の潜在リンパ節転移は2割程度で適切なENDの選定方法として,当科ではセンチネルリンパ節ナビゲーション手術(SNNS)を行っている。99mTcを標識したトレーサーを腫瘍周囲に注入し,センチネルリンパ節(SN)の集積位置を確認,原発手術の際にSNを摘出し,SNに転移がある場合にENDを追加している。当科における早期口腔癌のSNNSの予後は,WWとしていた以前と比べて改善していた。
頭頸部におけるSNNSは欧米ではトレーサーが適応承認され既に診療ガイドラインに加えられており,国内でも多施設共同研究が進行し頭頸部癌に対するSNNSのエビデンスを蓄積しつつある。
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© 2017 日本頭頸部癌学会
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