頭頸部癌
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局所進行喉頭・下咽頭癌に対する治療の最適化
近年の臨床試験から見た局所進行喉頭・下咽頭癌に対する治療への取り組み
岡野 晋
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2017 年 43 巻 3 号 p. 323-327

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抄録
局所進行喉頭・下咽頭癌に対する治療では,生存のみならず正常な呼吸・嚥下・音声機能を有する臓器機能温存が求められている。
現在,化学放射線療法(CRT)を行うことにより手術と同等の生存も報告されているが,長期経過を見ると,誤嚥性肺炎をはじめとする原疾患とは関連の無い事象が数多く生じており,臓器形態の温存は可能であっても,臓器機能の温存は十分でない。実臨床においては,多くの臨床家がCRT後の長期経過観察中に,嚥下障害,発声障害,気道狭窄などの種々の問題に直面している。
喉頭・下咽頭癌に対する喉頭機能温存を目標にした大規模な臨床試験が多数行われてきた。手術以上の生存および正常な機能を維持した臓器温存を手に入れるための最良の治療方法を提案するためには,過去の臨床試験をしっかりと読み解き,現在の問題点を抽出し,今後の展望と合わせて考えることが大切である。
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© 2017 日本頭頸部癌学会
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