抄録
頭頸部に原発する骨・軟部肉腫の頻度は,頭頸部腫瘍全体の1%程度を占めるとされており,また肉腫の側からは全体の15%程度が頭頸部原発といわれているが,本邦での正確な疫学情報は得られていない。骨・軟部肉腫は稀な疾患でありながら,その病理組織像は多彩であり,組織型により経過,予後,治療戦略も大きく異なり,治療にあたっては多職種によるチーム編成を組んで臨むことが求められる。本稿では,とりわけ非手術治療の適応,治療戦略別に主な組織型の骨軟部肉腫を分類し,それぞれの疫学,予後,治療戦略について解説する。