頭頸部癌
Online ISSN : 1881-8382
Print ISSN : 1349-5747
ISSN-L : 1349-5747
原著
終末期頭頸部癌治療における単独緩和ケアの臨床的検討
若杉 哲郎武永 芙美子池嵜 祥司竹内 頌子大久保 淳一鈴木 秀明
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 45 巻 1 号 p. 34-40

詳細
抄録

 終末期頭頸部癌治療において,積極的な抗がん治療を終了し,症状緩和のみを行う単独緩和ケアの臨床経過についての報告は少ない。2008年3月から2018年2月までに,当科で単独緩和ケアを行った頭頸部癌130症例について後方視的に検討した。単独緩和ケアの全生存期間中央値は3.6ヶ月だった。年齢・原発部位・組織型・緩和治療・オピオイド使用では,生存期間に有意差はなかったが,遠隔転移を有する場合・化学療法の治療ライン・緩和ケア専門チーム介入・ステロイド使用・看取りの場で生存期間に有意差を認めた。緩和治療期間と終末期医療全経過には,強い相関関係があり(p=0.631,p<0.0001),緩和治療が可能な患者ではその適応を考慮すべきではないかと考えられた。また,単独緩和ケアの生存期間は限られており,QoL(Quality of Life)を重視した支持的ケアが重要である。

著者関連情報
© 2019 日本頭頸部癌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top