抄録
化学・放射線同時併用療法(CCRT)で治療した切除可能頭頸部扁平上皮がんのうち,下咽頭がん29例,喉頭がん25例の計54例を対象に,生存率・喉頭温存率を臨床統計的に解析し,CCRTの有効性を検討した。
その結果,下咽頭がん/喉頭がんの2年疾患特異的生存率(DSS)はそれぞれ73%/92%,stage別2年DSSは,stageⅢ100%/100%,ⅣA 75%/88%,ⅣB 0%/100%であった。CCRT中の化学療法1コース群の2年DSS62%,2+3コース群90%と有意差を認めた。2年喉頭温存率は全例89%,T分類別では全例/下咽頭がん/喉頭がんでT2 それぞれ100%/100%/−,T3 91%/92%/90%,T4 81%/91%/60%であった。重篤な有害事象は,長期的胃管挿入1例のみであった。
以上から,当科におけるCCRT治療結果において,2年生存率・2年喉頭温存率は比較的良好であり,一方有害事象の発生は少ない結果であった。