抄録
経口的レーザー切除術(TLM)を施行した下咽頭扁平上皮癌88例,および選択的動注化学放射線治療 (RAPLAT)を施行した局所進行喉頭扁平上皮癌53例を対象とした。TLMを行った下咽頭癌88例の5年局所制御率,疾患特異的生存率,および粗生存率はそれぞれ81.0%,92.8%,76.2%であり,喉頭温存生存率,および喉頭機能温存生存率はそれぞれ75.2%,62.5%であった。局所進行喉頭癌53例の5年局所領域制御率,疾患特異的生存率,および粗生存率はそれぞれ84.5%,86.7%,81.6%であり,喉頭温存生存率,および喉頭機能温存生存率はそれぞれ78.7%,76.6%であった。TLMによる咽頭瘻孔や持続性嚥下障害は認めず,RADPLATによるGrade 3以上の有害事象は既存の報告と比較して少なかった。TLM,RADPLATは喉頭温存に有利な治療であると考えられた。