抄録
レンバチニブは根治切除不能放射線ヨード治療抵抗性甲状腺癌に適応のある分子標的薬だが,治療予後予測因子は確立されていない。本研究では,名古屋市立大学病院とその関連施設においてレンバチニブを投与した30症例を対象とし病理組織学的特徴,臨床因子を後方視的に集積し,生存への影響について解析を行った。観察期間中央値は20ヶ月,1年全生存率は71.2%であり,1年無増悪生存率は63.0%であった。組織型は乳頭癌17例,未分化癌5例,濾胞癌3例,髄様癌2例,低分化癌2例,扁平上皮癌1例であった。投与8週時に腫瘍縮小を認めた症例,分化癌,Neutrophil-lymphocyte ratio(NLR)≦3の症例,Glasgow prognostic score(GPS)0の症例において有意に無増悪生存率が良好であり,NLRやGPSは新たな予後予測因子としての可能性が示唆された。